【インタビュー】工学部から大学発スタートアップ経営者までの道のり

Plug and Play University Programに参加している冨安瞭です。今回はインタビュー記事をお届けします。お相手は経営者の伊藤陽介さんです。伊藤さんはパイクリスタル株式会社(有機半導体技術の事業化を目指す東大・阪大発スタートアップ)に代表取締役として携わり、2020年1月の株式会社ダイセルへの買収までリードしました。今回は、研究開発型の大学発スタートアップを最後まで走り抜けた、その貴重な経験に基づく気づきをたくさん聞かせて頂きました。

その一部をInnovators’ Clubのみなさんと共有したいと思います!

伊藤陽介さんの経歴

  • 2006年3月、東京大学工学部機械情報工学科卒業
  • 2008年3月、東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻修士課程修了
  • 2008年4月-2012年3月、ローランド・ベルガーコンサルタント
  • 2012年3月-2015年6月、ジャパンディスプレイ経営企画部 
  • 2015年7月-2017年6月、マサチューセッツ工科大学 スローン経営大学院卒業(MBA)
  • 2017年7月-2020年3月、パイクリスタル株式会社 代表取締役
  • 2020年4月-現在、東大にてスタートアップの支援をしつつ、起業の機会を模索中

『テクノロジーを使って世界に貢献したい』

Q.どうして起業家になろうと思ったのですか?

A.

私は静岡県浜松市で生まれました。私の父はヤマハの研究者で、音響システムのエンジニアでした。その影響で自然とエンジニアになりたいと思うようになりました。

初めは大企業のエンジニアになるつもりでした。しかし東大で、超優秀なエンジニア達と出会って大きな衝撃を受けたんです。エンジニアになる道とは別の道を考えなければいけないと思いましたね。テクノロジーで世界に貢献したいという想いはありましたが、研究には一限界を感じていました。一方で、私はチームを引っ張ることや人と話すことは好きだったんですね。そんな時に知ったのが大学発スタートアップでした。自分の夢を追求できる、技術系の起業家という新しい道を見つけることができました。

大学を卒業した後はコンサルティング会社に入社し、事業会社やMBA留学を経験しながらも、機会やアイデアを探し続けていました。スタートアップに入るまで9年かかったので…ずいぶんと長い道のりでしたね(笑)

『一人では世界を変えられない』

Q.MITに留学して感じた、海外と日本の大学発スタートアップの違いはありますか?

A.

 一番の違いはエンジニアとビジネスマンの繋がりだと思います。

MITは工科大学ですがビジネススクールもあるんですよ。そこでは5~7年のビジネス経験があり、次のチャンスを探している人たちが何百人もいるんです。そして、エンジニアと交流し、チームを組む機会がたくさん設けられています。一人の天才だけでは世界を変えることはできません。強いチームが世界を変えると考えられています。

一方で日本の大学は素晴らしい技術を持っていますが、ビジネスマンがいませんよね。日本では技術系の起業家の数が少ないことが一番の問題だと思います。しかし、皆さんにとっては大きなチャンスです。今なら、競争相手は少なく、大学やベンチャーキャピタルの支援を受けられ、3Dプリンターのようなツールもたくさんあります。何かを始めるにはとても良いタイミングだと思いますね。

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