【修了】Plug and Play University Programを振り返って

 こんにちは!大阪大学基礎工学研究科M1の金庚民と申します。私は2020年10月からPlug and Play University Programに参加し、約8ヶ月のインターンシップ期間を経て、2021年5月に無事修了しました。この記事ではPlug and Play University Programを振り返り、プログラム内容や得られた経験・感想について率直にお話しします。

目次

Plug and Playとは?

 Plug and Playは、アメリカのカリフォルニア州にあるシリコンバレーを拠点とした世界最大のスタートアップ支援組織です。「アクセラレーター」とも言われる、創業初期段階にある起業家・チームを支援し立ち上げを加速する(accelerate)役割を担います。資金を投資するだけでなく、オフィスの提供、経験豊富なスタッフによる経営アドバイス、人材ネットワークの構築など、起業に必要なあらゆる資源を提供することで事業を成功へと導きます。例えば、世界的に広く利用されているPaypal、Dropboxにも創業初期段階からPlug and Playが投資・成長させたことは日本でもよく知られています。

Plug and Play University Programについて

 Plug and Play University Programには、世界各国の名門大学から選び抜かれた精鋭学生が150人程参加しています。参加者のバックグラウンドも多様性に富んでおり、学部生から博士前期・後期課程(文理問わず)まで幅広いので、本プログラムを通して他に類を見ないユニークなネットワークを構築することができます。参加者はスクリーニングプロセスを経て、専門性に合ったグループに所属することになります(Money/Health/Commerce/Smart Tech)。私は専門がEngineering ScienceであることからSmart Techに配属されました。配属後、参加者はPlug and Playから投資する側の考え方、リスクアセスメントやイノベーションについて教育を受けます。これは非常に高度な内容なのですが、大学講義のようにゆったりと吸収する時間を与えられるわけでもなく、参加者はすぐにアウトプットを求められます。

 Plug and PlayにおけるSmart Techとは、ドローン、自動運転、人工知能、機械学習、高性能センサー、Web基盤プラットフォームなどの産業的に利用価値の高いHardware/Software技術のことを指します。我々はインターンシップ期間中、毎週20社以上のSmart Tech系のスタートアップからのプレゼンテーションを聴き、提示された資料を元に調査を行い、当スタートアップについてまとめたレポートを作成します。調査・評価する際は以下のようなポイントに注目します。

  1. 起業家・チームのバックグラウンド(学歴・職歴・スキルなど複眼的な視点から評価)
  2. マーケット規模の現状と今後の展望(売り上げと直結するため非常に重要)
  3. アイデア・技術の開発段階(IP : 知的財産権の保有有無も併せて考慮)
  4. 他社・既存サービスと比較したときの競合優位性

 我々が作成したレポートを元に、実際にPlug and Playの投資部門が各スタートアップに投資を行うので、慎重な調査及びレポート作成が求められます。またスタートアップから提供される技術情報などはconfidential(社外秘)なので、責任のある管理が求められます。私は8ヶ月のインターンシップ期間を通して200社以上のスタートアップについて調査・評価を行ない、Plug and Playの集計では99.44%という高得点でプログラムを修了しました。大学に在籍していながらこれほど多くの最先端技術・スタートアップに触れることは、Plug and Play University Programでなければ決して経験できません。

 スタートアップのレポート作成の他、もう一つの重要な仕事があります。インターンシップ期間中2週間に1回ミーティングが開かれますが、そこで特定のスタートアップについてプレゼンテーションを行い、一社につき(発表時間10分含め)30分ほど、参加学生だけでなく社員を交えて深い議論を交わします。ここでは適切な情報が網羅されていることや、作成したレポートの内容を元にして聴く人に分かりやすく伝えることが求められます。議論の後はそのスタートアップに投資すべきかどうか投票が行われ、これもPlug and Play投資部門が投資の意思決定をする際、重要な判断材料となります。

 私が所属していたSmart Techは比較的少人数であったためインターンシップ期間中2回も発表する機会があり、先述したレポートの作成に+αでプレゼンテーションの資料を作ったり、スタートアップについて調査を重ねることは非常に大変でした。また、30分間の議論では多くの質問が飛び交いますが、発表者がそのスタートアップについて十分に調べており熟知している前提で話が進むので、少しでも調査や資料に抜けがあれば発表者は冷や汗をかくことになります。しかし、それらを乗り越えてミーティングが終わった後、仲間や社員の方々から「君の発表、とてもよかったよ!」と褒めていただいたときは嬉し涙が出るほど達成感を味わいました。

最後に

 コロナ禍の大変な状況下で、学業や研究と並行するにはやや厳しいプログラム内容でしたが、日々切磋琢磨し合った阪大の仲間と、Innovators’ Club スタッフの松行先生の支えのお陰で走り抜けることができました。今振り返ると、学部生時代にInnovators’ Clubで参加していたTEC・G-TEC・Innovators’ Academy・ビジネスコンテスト出場などの経験が、Plug and Play University Programを走り抜けるのに大きく役立ったと感じています。また当然ですが本プログラムは教育・レポート作成・プレゼンテーションなど全て英語で行われるので、英語で思考し、アウトプットする力がなければ耐えられず途中下車していたと思います。

 本記事を見て少しでもこのような活動に興味を持った方がいれば、是非Innovators’ Clubに足を運んでみてください。Innovators’ ClubにはPlug and Play University Programのような身の詰まったプログラムが沢山用意されていますので、自身の枠から一歩踏み出て視野を広げるいいキッカケになると思います。

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