【レポート】Innovators’ Talk #43 スタートアップと老舗企業の連携による新しいイノベーションの形

今回は和歌山にある中堅老舗メーカーであるノーリツプレシジョンの代表取締役である星野達也さんと、和歌山で新しいモビリティを開発するスタートアップglafitの創業者である鳴海禎造さんをゲストにお迎えしました。

テーマはオープンイノベーションで、地方の中堅メーカーとスタートアップの連携の実際を、当事者のお二人からお話し頂きました。星野さんはマッキンゼーで勤めた後、オープンイノベーションのコンサルタントとしてナインシグマの創設に加わったオープンイノベーションの専門家です(『オープン・イノベーションの教科書』の著者でもあります)。

ある日、鳴海さんから、自動車をつくりたいので協力してほしいとの要請があり、星野さんは「うちではできない」と言って断ったことから二人の関係は始まります。既存の企業が今までやったことのないことをやることで発想の転換が起こり、考えてもみなかった自社の技術の適用法を考える…そんなことから真のイノベーションが生まれる…それがオープンイノベーション本質の一部のようです。

星野さんは会社の立て直しのために様々なことをしていますが、その中でも重視しているのがオープンイノベーションです。大企業、中小企業、スタートアップ、大学と様々な組織と補完関係を築き、新しい事業ができていきます。glafitのようなものづくりスタートアップとは、「アイデアはないけどものづくりの場はある」中堅メーカーと、「アイデアはないけどものづくりの場はある」スタートアップがシナジーを生み出します。星野さんによると、スタートアップとの連携は、ものづくりに対する思想の違い、企業カルチャーの違い、意思決定スピードの違いなどがあり容易ではないとのことですが、スタートアップの持つ、とりあえず前に進み「やりながら考える」というものづくりの進め方、「あとがない」という危機感でどんどん物事を進めるスピード感や仕事に対する情熱に社員が影響を受けて、「それはできません」文化から「どうやるか」思考への変化、「石橋をたたいて渡らない」から「失敗は成長へのヒント」といった思考様式の変化が見られ、企業文化の変化や社員の育成となり、また新規事業の創出につながるということです。近年、ものづくりスタートアップは増えていますが、「死の谷」を越えるためにはメーカーとの連携は不可欠であり、自ら成功事例をつくるために奮闘されているとのことでした。

最後に鳴海さんから「永遠に生きるかのように学べ。明日死ぬかのように生きろ。」という言葉を紹介頂きました。スタートアップは毎日が目の前のことで精一杯だがそれでも100年のビジョンを持つことが大事、ということですが、そのようなスタートアップ的な生きざまや情熱が、参加者の皆さんにも伝わる素晴らしい講演会でした。

参加者の皆さんのアンケートより…

・想像の100万倍為になりました。どうもありがとうございました。

・お二方とも、人柄、話し方に引き付けるものがありとても刺激になりました。今後がすごく楽しみです。自分もまけないように意思強くもち社会に出ていきたいと思えました。

・お二人の立場からお話をいただけてわかりやすかったです。相手に魅力を感じること、スタートアップとのかかわりから成長する力を信じていることが秘訣だと感じました。

・大変、胸が熱くなる講演でした。また、どんな企業、立場においても、活かせると思います。

・性質の異なる企業間でのシナジーを具体的な事例として伺うことができました。

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