報告:大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻 M1 金庚民
8/20-22にかけて実施された、宇宙に関する新規事業を立ち上げる「スタートアップ体験イベント」Startup Weekend Osaka Spaceに参加し、優勝することができました。3日間の活動内容をレポートします!
8/20 活動内容
万全なコロナウイルス対策の元、黙食で食事をいただき、StartupWeekend に関するセミナーがスタートした。
【セミナーの内容】
17:30 から、運営メンバー・スポンサー・コーチ陣の紹介。
Pitch に求められる要件とは? name→problem→solution→team すでに着手しているアイデアは受け付けられず、0 から作り上げる必要がある。
セミナー終了後、20 分の議論・準備タイムを経て、有志による Pitch がスタート。
計 15 人による発表が行われ、その後の話し合いにより計 6 チームが発足した。時間制限の関係で十分に話し合いが進まず、時間に追われる形で暫定8人の大人数のチームを結成した。
その後の Discussion Time を活用し、チームメンバー同士でテーマに関して話し合いを進めたが、大人数が故に方向性がバラバラで、具体的なテーマが決まらず翌日に持ち越しとなった。
8/21 活動内容
午前 10 時からスタート:運営から最終 Pitch の評価の軸となる3つの concept の紹介
・validation : 課題の存在証明、customer と話をして調査したのか?
・execution and design : MVP や Prototype を作ったのか?それは使いやすいか?
・business model : どんな風にユーザーを獲得するか?競合との差別化は?
その後、チームにおける会議を行い、初日に決まりきらなかったテーマを決めるべくブレーン ストーミングとディスカッションを重ねたが、やりたいテーマがバラバラでまとまらずチーム を分割することになった(初日時間制限の関係で十分な話合いができずチームが決まった ことが原因)。
こうして、8 人→3人の小規模チームが結成し、再びアイデア出しの段階から再開。 テーマとして、「宇宙に美味しい水を届けたい!」というアイデアが決まり、NASA アジア代表のガーヴィーさんや、株式会社ワープスペースCEOの常間地社長とのコーチングセッションを経てアイデアをブラッシュアップさせていった。
コーチングセッションの結果、実際の需要の検証やエビデンス探しが必要不可欠との結論 にいたった。これを受け、民間宇宙ホテル企業のAxiom Space, Sierra Spaceなどに関する調査を行ったり、宇宙機に用いる水イオンスラスターエンジンを研究開発している東京大学発ベンチャーのPaleBlue社にヒアリングに当たったり、ISS内部のシステムやWater Recovery System などに関する論文 : NASA, JAXA などの文献調査を進めたりして、翌日の最終Pitchに向けた資料作りと製品の構想段階をある程度完成させるに至った。
8/22 活動内容
最終日 : 運営側によるスケジュール案内と Pitch Guide が行われた。
【最終 Pitch が満たすべきプレゼンテーションの流れ】
Elevator Speech, Problem, Solution, Market, Business Model, Competition, Marketing Strategy, Team, Traction(ヒアリングの結果), Needs(審査員、聞き手に対するNeeds)
Tips : 文字をなるべく減らす、審査員や聞き手に対してアイコンタクトを行う。質疑応答はなるべく簡潔に済ませる(時間が限られているのでなるべく審査員の疑問を一つでも多く解消すべき)。質問は投げない。結論から入る。
その後、Team RegistrationをSeattle本部に対して行い、登録を行った。→登録順が最も早かったteamから最終Pitchの順番を決め、我々チームWTVは最も早く登録に成功したので優先選択権をいただき、7 チームのうち大トリを担当することに決まった。
最終ピッチは3日間のアイデアをまとめ上げて、「Water Transfer Vehicle : WTV」:宇宙に美味しい水を届けたい!というテーマで事業構想をし、私がプレゼンテーションさせ ていただいた。最終ピッチの結果、優勝することができ、読売新聞の記者の方や、NASAアジア代表のガーヴィーさん、NRIの森さん、ワープスペース社長の常間地さん・・・挙げきれないほどの方から声をかけていただき、たくさんのご縁に恵まれる結果となった。
全体を通した感想
私は産学連携・イノベーションに先導する研究者になりたい。その志を原動力に、シリコンバレー屈指の VC であるPlug and Play でのインターンシップ(別記事:Plug and Play University Programを振り返って)や、阪大発ベンチャー (Cotobadesign)などと言った環境に積極的に参加し、異分野での経験や知識を求め続け てきた。同様の志から今回参加した StartupWeekend Osaka Space では、見知らぬ人同士が集まって即席でチームを組み、限られた時間で「宇宙に関するテーマ」で新規事業を考え、ビジネスモデルを洗練させ潜在顧客にアプローチをかけて最終ピッチで競うというタフなプログラムを経験させていただいた。時間が非常に限られている中、チーム決めの際のトラブルや意見の相違などチャレンジングな要素も多かったが、それを乗り越えてアイデ アを一つの形にまとめあげ、優勝できた経験は忘れ難い貴重な経験となった。
また、普段滅多に接することのできないNASAアジア代表のガーヴィーさんの講演を聞いたり、コーチングを受け、自身のアイデアの直すべきところや強調すべき点について即座にフィードバックを受けることができた。全体を通して3日という限られた時間は非常に充実したといえるし、それに留まらず今回得られた人のつながりという縁を大事にしながら、 新たな世界に一歩踏み出したいと胸を膨らませている。