工学研究科環境エネルギー工学専攻1年 出戸克尚
⓪留学の目的
僕の人生の目標は「環境問題、特に地球温暖化を解決する」です。環境問題というのは、日本だけで解決できず世界との協調は不可欠。そのため、自分の人生の目標を達成するためには、自分が海外の人も巻き込んで周囲や社会を変えていくグローバルリーダーシップ、グローバルな環境で活躍するビジネススキルを習得する必要があると考えました。
留学先としてドイツを選んだのは、環境先進国として有名なドイツの実態を学び、日本や世界が、この先どのような行動をするべきか自分なりに包括的に考えたかったからです。そのためにドイツで1年、トップレベルの大学やビジネス現場で過ごすことを決めました。
①手続きの煩雑さ
僕の留学は、交換留学と長期インターンシップ3つの、計4つの内容で構成されています。交換留学は大学間交換留学という形で、ドイツのミュンヘン工科大学へ留学しています。ドイツの理系TOPであり、世界大学ランキング(QS)でも50位の大学です。長期インターンシップについては、1つ目は以前所属していたオンラインコミュニティの人づてで現地のClean Tech系の中小企業(2022/02~07)を、2つ目は大阪大学のグローバルイニシアティブセンターの担当者の方より、バルセロナでのエネルギー研究センターでのインターン(2022/08~09)を紹介してもらい、3つ目はInnovators’ Clubを通して募集の案内があったPlug and Play Japan(2021/11~2022/06)でのインターンです。上記1つ目・2つ目は現地で、3つ目はドイツからオンラインでインターンを実施します。(Plug and Playさんでのインターンについては、11月の留学日記に記載します。インターン開始前ですが、既に本当にお世話になっております。)
1つ目・2つ目のインターンに関しては、自分の夢・意欲を伝えることで、紹介者の方から良いインターン先を紹介していただけたかと思います。2つ目のインターンシップ実現に向けては、工学研究科国際交流推進センターに相談した結果、グローバルイニシアティブセンターの担当者の方へ繋いで頂くことが出来ました。
奨学金を含めた交換留学の手続きに関してはかなり煩雑でした。履修計画、留学の動機などを留学開始の1年前に提出する必要がありました。また、勿論言語は必要です。僕は英語で授業を受ける予定だったので、IELTSの勉強をかなり必死にやったので基準を超えることが出来ました。
留学実現には、強い気持ちが必要です。特に、理系の学生は忙しい。それに加えて、留学手続きを乗り切るためには、留学が自分になぜ必要なのかを明らかにする必要があります。その想いが強ければ強いほど、英語学習が苦しくても乗り越えられると思います。結局は、気持ちの問題だと感じています。
②ドイツ・日本のサービスの利便性の違い
今回、留学時に意識したい点が2つありました。1つは、海外で先行しているサービスで日本に持ち込めるものは無いか。2つ目は、日本のサービスをどうすれば海外展開出来るか。日本の市場は独自のため、日本市場に通用しても海外市場で通用しないことは多くあります。サービスを国内・海外両方で通用するために必要な情報・スキル・人材が何か分かれば、もっとサービスを大きくしていくことが出来ると考えているからです。
③ドイツでの授業(Business Model Basic)
今回の交換留学では、実は卒業に必要な単位を留学先で取る必要がありません。また、インターンがあるため授業にかけられる時間も十分にはありません。そこで、とにかく日本では得られない最大の経験を出来る授業を限定して集中して受けることにしました。その結果、7つの授業を履修登録しました。しかし、履修に抽選があり、そのほとんどが落選中という厳しい状況にあります。
そんな中で見つけたのが、Business Modelを作る授業「Business Model Basic」です。BasicではなくAdvanceに参加したかったのですが、インターンの日程の都合上、Advanceの履修を諦めました。Business Model Basicの授業では、まず初めにチームビルディングがあります。これは全て、学生による自発的なマッチングで行われます。僕は既にアイデアを1つ持っていたので、それを参加学生の前で発表しました。その結果、多くのメンバーから参加したいと連絡を貰い、その中で今はメンバーを選び既にブラッシュアップを一緒に進めている段階です。
英語に不安は勿論あります。でも、自分の留学の目的を振り返ると、絶対に自分がチームの1メンバーではなく、リーダーとしてビジネスに向き合う経験が必要でした。今は、勇気を出して自分のアイデアを発表したことに満足しています。素敵なメンバーに出会うことが出来ました。(この詳細も、11月の留学日記に記載します。)
授業「Business Model Basic」のブレイクアウトルームでの様子
④その他交流・海外旅行
この貴重な1年を最大限活用するために、1つ趣味として大きな目標を設定しています。欧州の国を全て巡ることです。渡航後1ヶ月で6カ国(ドイツ・スイス・リヒテンシュタイン・ハンガリー・スロバキア・オーストリア)を訪れることが出来ました。同じ欧州で隣国でも文化が大きく異なること、電動キックボードが全ての国でシェアリングの形で日常に浸透していることを実感しました。
また、ドイツTOPの理系大学ならではの凄さを感じた場面を紹介します。10月より年度開始のため、新入生・留学生のWELCOMイベントが先日行われました。学長などが話をするのですが、スピーチが全て英語でした。ドイツ語は0。そして、スピーチの中でアピールしていた内容で印象的だったことが2つあります。1つ目は、海外からの学生が全体の30~40%を占めるグローバル性。2つ目は、SpaceX主催のコンテストで優勝した学生を紹介し、グローバルに通用するビジネス・テクノロジーがミュンヘン工科大学で得られることをアピールしていたことです。
グローバル性・ビジネススキルを得られる環境、このアピールを大阪大学もしていくべきだと感じました。
ミュンヘン工科大学でのWELCOMEイベントの様子
(ビールを配っているのが学長です。)
最後に
色々と良いことを書きましたが、勿論苦労は多くあります。しかし、1つ1つの楽しい出来事を貴重に感じ、成長をすぐに実感出来る最高の環境です。
また、今回の留学は、家族や先生方、自分の周りの多くの方に助けて貰って実現しています。お世話になった分、十分に成長して1年後帰って来れるように、精一杯1年間楽しく過ごそうと考えています。
この文章を読んで、留学に一歩勇気を持って踏み出し、学生のうちに海外でしか得られない経験を積む人が1人でも多く増えますように。
スイス・チューリッヒ1人旅中に仲良くなったアメリカ人のRobertとの夕食の様子