【レポート】Innovators’ Talk #46 ブランド復活と感性価値創造への挑戦

 パナソニック株式会社テクニクスブランド事業担当参与、関西渉外・万博担当参与の小川理子さんをゲストにお迎えして、i-Talk#46を開催しました。

 小川さんは大学時代は生体工学の研究室に所属しましたが、ピアノを3歳から演奏していたこともあり、音楽のリズムと生体リズムの関係に興味を持ち、音に関する仕事をしたいと考え、松下電器(当時)に入社されました。
 希望して配属となった音響の研究所で音響機器の研究開発に打ち込みますが、その後、同社のテクニクスブランドがなくなるという衝撃的な出来事もあり、インターネット事業や社会貢献事業などの部署で仕事をされてきました。

 音響の仕事から離れる時期に、上司の方に誘われジャズバンドでの演奏を始めます。
 演奏活動を続けるうちにアメリカの国際ジャズフェスティバルから招待され、スタンディングオベーションが起こるほどの演奏をし、またリリースしたCDがイギリスの専門誌で年間1位の評価を受けるなど、ジャズピアニストとしての国際的なキャリアを築いていきます。
 そこでは、世界的なプレイヤーとの共演が自分の潜在力を引き出してくれたそうで、「他流試合」の重要性を感じました。

 会社ではその後、テクニクスブランドの再興プロジェクトが立ち上がり、小川さんはそのプロジェクトのリーダーとして、かつて世界的に評価されたブランドを復活させました。

 このように「2足のわらじ」のキャリアを歩まれた小川さんは、恩師から「仕事とピアノの両方をやるとどちらも中途半端になる」との助言を頂いたこともありましたが、自分の好きなものを貫くことで仕事と演奏の両立を果たしてきました。若い頃にはあせりも多くあったということですが、目の前の仕事に打ち込むことで道が拓けたということです。

 講演の最後には若い人へのメッセージとして、「信念と情熱を持ち続ける、「挑戦し続ける」、「豊かに発想し、創造する」の3つについてご自身の経験からお話をされました。
 小川さんの、感性を大事にして、アートとサイエンスを組み合わせてビジネスにして、人々に喜びと感動を届けるというイノベーションの考え方に、300人を超える参加者の皆さんも心を動かされました。

参加者の皆さんの感想より…

  • コロナ禍でなかなかさまざまな活動を始めることが難しいですが、目の前の仕事から一生懸命取り組んでいこうと思いました。自分のやりたいことには足踏みせず少し手を伸ばして挑戦していきたいと思います。背中を押してくださるような前向きなお話をありがとうございました。
  • 大変有意義で学びの多い時間でした、とても面白かったですし、感動致しました。
  • 本当に学びの多い時間をありがとうございました。心より感謝します。
  • 今回の講演では情熱という言葉が僕の中で一番心に残りました。情熱を持つという事は口で言うのは簡単でありますが、いざ自分が実践するとなるとどの程度忠実に心に留めながら行動出来ているかは疑問が残ります。実際に言語化し、自身がのめり込める事に出会う事が学生時代では大切ではないかと感じました。
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